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中国映画のコラム 第12回 .

 ハリウッドを超えられるか? 中国映画の潮流
河崎 みゆき

   
   

湄公河行動(邦題:メコン大作戦) 上海の詩人たちとの付き合いなどを通じて、中国の映画監督や、インディペンデント映画、ドキュメンタリー作家たちと知り合う機会があり、筆者の勤める大学の副教授である余天琦(Kiki Tianqi Yu)からは彼女の制作したドキュメンタリー作品がこの1月16日NHKワールド(English)で放映されることが決まったと(https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/tv/lens/318_28.html)連絡を受けた。
1月14日からは作家 畢飛宇(ビー・フェイユイ)の小説『推拿(マッサージ)』(『ブラインド・マッサージ』飯塚容訳、白水社刊)を婁燁(ロウ・イエ)監督が映画化した『ブラインド・マッサージ』も日本で上映される。『推拿』の演劇版も見に行った、文芸もの、ドキュメンタリー好きを自認する筆者であるが、今回は、中国の大衆映画の大きなうねり「ハリウッドに肉薄する中国映画」について、そして最近の上海における映画鑑賞事情も合わせて簡単に紹介したい。
  

     

1. 湄公河行動  邦題:メコン大作戦
『湄公河行動』より  昨年の国慶節の休み明け、筆者の教える大学で学生たちに国慶節の出来事を尋ねたところ、何人もの学生が『湄公河行動』が大変面白かったと口を揃えて言った。アクション映画の嫌いな私でも見なくてはなるまいと思い、早速スマホで映画情報をチェックすると10点満点で9.3と高得点で、これほど高い得点の映画はあまりお目にかかれない。

  この映画は2011年実際にメコン川で起きた麻薬事件を元にしている。2艘の中国商船がメコンゴールデントライアングル(タイ、ミャンマー、ラオスがメコン川で接する地域)で襲撃にあい、船員13名全員が死亡、タイ警察が船から大量の麻薬を押収する。事件の真相を明らかにするため雲南省警察は特捜隊を派遣し、中国、ミャンマー、ラオスが三国連合し、捜査活動が開始される。
張涵予(チャン・ハンユー)演じる中国捜査隊長は、台湾の人気俳優彭于晏(エディ・ポン)演じる現地捜査員と協力しあい情報を収集し、この地帯を牛耳る麻薬組織と息もつかない撲滅大作戦を繰り広げる。
  アジアの麻薬地帯、最新の情報機器による捜査。100%事実に基づいているわけではないにせよ、グローバル化の時代で中国警察がこのようにアジアや世界各国で実際に犯罪組織追及のために、最も先進的な科学技術を使い、人員を派遣し捜査を行なっているのかといったことに気づかされる。モーターボートチェイス、麻薬組織の森のアジトでの銃撃戦の映像はドローンなどの最新機器を使って撮影されており、ハリウッド映画にまったく引けを取らない面白さと迫力がある。エディ・ポンハリウッド並みの映像と展開で、演じているのがチャイニーズスターたちであることも、アメリカアクション映画に飽きた人たちにはおそらく新鮮に映るのではないだろうか。中国では果敢な演技をする警察犬・吠天(シャオテン)にも人気が集まった。
  東京国際映画祭でも上映されたようだが、世界では香港、台湾はもとより、シンガポール、ベトナム、アメリカ、オーストラリアなどで公開され、「中国ハードボイルドブーム」を巻き起こしたといわれている。

2016年9月30日公開、監督は林超賢(ダンテ・ラム)。メインキャストは、張涵予、彭于晏、馮文娟(フォン・ウェンジュエン)

写真は1月3日上海人民広場駅で壁を覆いつくしていたエディ・ポンの写真の一枚(筆者写す)


2. 鬼吹灯尋龍訣(Mojin - The Lost Legend)
  この映画は2015年末に公開された冒険ファンタジー作品である。やはり当時中国産3D映画を見ようとおもっていなかった筆者に、「捜狐」の女性記者が勧めてくれたのだ。
鬼吹灯尋龍訣(Mojin - The Lost Legend)  これは『鬼吹灯』という四部作小説の一部を映画化したもの。
  画面にはいきなり三国時代の地下墓が現れる。墓あらしの陳坤(チェン・クン)演じる胡八一(フ・パーイ)、黄渤(ホアン・ボー)演ずる王凱旋(ワン・カイシュエン)たちは商売替えをし、80年代のアメリカの路上で骨董 を売って生きていこうとするが、不法滞在で移民局から追われる。
画面は、ニューヨークの街から、突然文革で内モンゴルの大草原に下放された知識青年の記憶にワープする。草原の地下には日本軍の巨大な地下工場があり、それは遺跡につながっている。よみがえる日本兵のゾンビたち。
「インディ・ジョーンズ」や「ロード・オブ・ザ・リング」などどこかでみたような3D映像だがその中に中国風味が加えられている。
胡八一たちはアンジェラベイビー演ずる20年前に死んだ恋人・丁思甜(ディン・スーテン)を追って、モンゴルの草原の地下の遺跡に再び挑んでいく。盗掘メンバーには表向きグローバル鉱業集団社長実は邪教の女教祖様やその教祖様に日本語で話す秘書の洋子という不良少女のようなキャラが登場したりする。その女教祖を演ずるのがなんと『芙蓉鎮』劉曉慶(リュウ・シャオチン)だ。60歳を過ぎた彼女が驚くほど美しい。
地下に広がる巨大で深い谷、崩れる岩、切れて落ちるつり橋。それらのCGの視覚効果が中国の3D映画の実力が上がってきたことを物語る。中国3D映画が今後伸びていくことを実感した記念すべき一本と言ってもいい。

2015年年末公開。監督は、内モンゴルフフホト生まれの烏爾善(ウー・アルシャン)。メインキャストは、陳坤、黄渤、夏雨(シア・ユー )、女優の舒淇(スー・チー)、アンジェラベイビーなど。


3. 美人魚  邦題:人魚姫
 これは今年1月7日に日本でも封切られたばかりでご覧になった方もあるだろう。周星馳(チャウ・シンチー)監督作品のファンタジー・ラブコメディだ。中国ではちょうど昨年の春節映画として封切られ、評判を聞いて新学期に上海に戻って上映が終わりかけた頃に慌てて駆け込んで見た覚えがある。
  鄧超(ダン・チャオ)演じる不動産業で成功した若き富豪の劉軒(リュウ・シュエン)たちは海を埋め立ててレジャー施設建設を計画するが、その海域にはじつは海に沈んだ難破船に住む人魚の一族がいたのだ。彼ら(人魚は男女の人魚、タコの姿のものもいる)にとっては生きるか死ぬかの問題である。埋め立てを阻止すべく若くて美しい人魚姫・林允(リンユン)扮する珊珊(サンサン)は開発会社社長・劉軒を殺そうと潜入するが、彼の孤独を知り互いに惹かれあっていく。
美人魚(邦題:人魚姫)  人魚一族 の住む難破船が日本のアニメ「ONE PIECE(ワンピース)」のパクリであるといった批判も聞かれたが、全体としてはそうした批判も凌駕する、人魚の群れ、海や波の映像など優れたCGや特撮の技術の高さだ。
  またここでも言えることが、意匠の「本土化(ローカライズ)」だ。人魚といえばアンデルセンの人魚姫やディズニーアニメの人魚姫に私たちは慣れ親しんできたし、珊珊たちもそうした人魚姫と表面上変わるところはない。が、人魚一族を率いる長老は女人魚であり、中国古代の絵にも描かれているような着物のような上着をきている。長老が尾ビレを一はらいするだけで巨大 な波が巻き起こる。
  言語学や日本語教育でも、中国本土の実情にあった「本土化」が叫ばれて久しいが、この3本を見る限り、ハリウッド映画に肉薄するCGや撮影技術を高めている上に、中国の文化や社会を反映する意識が働いていることが見て取れる。

2016年2月8日公開、監督は、周星馳(チャウ・シンチー)。メインキャストは、鄧超、羅志祥(ショウ・ルオ)張雨綺(キティ・チャン)、林允など。


  少し前まで、中国では映画はインターネットで「無料」で、見るものだった『尋龍訣』は勧められて、静安寺のおしゃれなケリーセンターの映画館で見ようと思ったが、140元(2500円)の映画館も満席という状態だったので、支付宝(アリペイ)のネット決済で安い映画館を探し、46元で鑑賞した。上海では、同じ映画が時間帯、場所によっても値段がまったく違う。最近ではスマホアプリのアリペイや微信(ウイチャット)のウォレットに映画サイトがリンクされ、アクセスすればすぐ自分のいる場所に一番近い映画館から順に示され座席も選べる。遠い映画館が驚くほど安価な場合もある。電車の中で映画を見ようと思い立っても、ものの3分もかからず予約できる。
上海影視城の外観/VIP席(筆者撮影)  また、最近はVIP席と言ってゆったりとした1人掛けソファのような座席もあるが、「人魚姫」は割高のVIP席しか残っていなかったためVIP席で見た。(写真は上海影視城のVIP席。筆者写す)
ネットショッピングが主流になり、上海でもいくつかのショッピングセンターが潰れているが、かろうじて盛況なのは食事をし、映画も見ることのできるデートスポット施設だそうだ。

  習近平政権も中国のソフトパワー強化と内需拡大のため映画産業に力をいれており、破竹の勢いは止まったとは言え、国家新聞出版広電総局映画局の発表によれば2016年の興行収入は457億元(約7300億円)、中国産映画が約6割を占めている。面白くなければさっさと上映を打ち切られるため観衆たちの水準も高くなっている。
  日本でも4月に上映予定の張芸謀(チャン・イーモウ)監督映画『長城』もまたこうしたCGをふんだんに使った映画であり、饕餮(トウテツ)という山海経に記載された怪獣が出現する。韓流ならぬ「漢流」を狙う中国の映画産業が送り出すゴジラへの対抗馬ではないだろうか。
  一方で冒頭にふれたインディペンデント作家や、文芸腔(ウェンイーチャン)と呼ばれる文芸映画監督たちは、自分のやりたいものと興行成績の間で苦しんでいると聞く。だが、そうした作品こそに投資する人や、ロケ地として全面協力する地方政府もあるようだ。

中国の3D映画が、日本で上映されるすべてのハリウッド映画にとって代わることはないだろう。しかし、中国映画が実力をつけ、中国語、中国文学愛好家やドキュメンタリー愛好家といった一部の人たちの鑑賞物から、もっと多くの日本人たちが楽しめる中国3D大作の時代に移ってきたことは、おそらく日本の観衆にとっても悪いことではないのではないだろうか。


※映画のポスター写真は百度から


宣伝ビデオ:
 『湄公河行动』(邦題:メコン川大作戦) https://www.youtube.com/watch?v=jithgv1oEJ8
 『鬼吹灯 寻龍訣』 https://www.youtube.com/watch?v=ErYZRAcpQ5U
 『人魚姫』 https://www.youtube.com/watch?v=q557UaFZJuM

(かわさき・みゆき 上海交通大学日本語学科講師)

   
 
   
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