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日本ビジネス中国語学会
 
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微観中国  (38)広がる中国式ネット管理 フェイスブックやロシアも
   
     
今年6月、明治大学で講演する栄剣さん

フェイスブックなどが使えないという中国のホテルの但し書き

 

 10月中旬、中国を旅行した。その際にやはり難儀したのが、フェイスブックなどのSNSがつながりにくいことだった。中国のホテルでは顧客に「フェイスブックやユーチューブ、ツイッター、グーグルは使えない」と断り書きしているところもある(写真)。
 今回は普段使っている「OpenVPN」に加えて、中国の友人が営業しているワンコインVPN(月額使用料が500円)を試してみた。時間帯によってつながりにくいこともあったが、ほぼ「翻牆(壁越え、ネット規制回避)」することができた。もっとも、多くのユーザーがシェアしている関係で、アクセス速度は遅く、動画などは見ることはできないし、写真のアップにも時間がかかった。
 中国ではネット規制によりフェイスブックやグーグルの各種サービス(Gメール、検索、ユーチューブその他)が使えないのは周知の事実だが、7億人のネット人口はフェイスブックの経営者、マーク・ザッカーバーグにはそれでも魅力に映るようだ。夫人が中国系である彼は以前からも中国への高い関心を示し、2012年12月に中国ネット管理部門の責任者、魯煒国家インターネット情報弁公室主任(当時)が訪米し、同社を訪れた時は「習近平語録(習近平主席 国政運営を語る)」を机の上に置き、「従業員に読ませる」と語り、15年9月に習近平が訪米した時に開かれた「米中インターネットフォーラム」では習近平に中国語で話しかけたという。16年3月に訪中した時には重度の大気汚染の中、北京の天安門付近をジョギングした。そうした彼が中国市場に参入するために準備した「奥の手」をこのほど米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が明らかにした。

     
     
     

 

 

報道によると、フェイスブックの3人の現役または元従業員が、フェイスブックの書き込みが特定地区のユーザーのニュースフィードに表示されるのを防ぐソフトウェアを密かに開発したことを明らかにした。このソフトは企業秘密であり、3人は名前を明らかにしなかったが、このツールの目的は現在フェイスブックが禁止されている中国市場に入るためであり、ザッカーバーグ氏もこのプロジェクトを支持しているという。
 フェイスブックはこれまで、パキスタン、ロシア、トルコなどでも地元政府の要求に応じて公開済みのコンテンツを隠すことを行っており、2015年7月から12月までの間、フェイスブックは約20カ国で5万5000本のコンテンツを隠した。だが今回の新たな機能はさらに先を行くもので、初めから中国ユーザーのニュースフィードに特定のコンテンツが表示されるのを防止するものだ。
 このソフトはフェイスブックが第3者、すなわち中国のパートナー企業に提供され、人気のある書き込みや話題を監視し、パートナーに完全にコントロールする権限を与え、書き込みをユーザーの画面に表示するかどうかを決定することが可能だ。
 ただこの関係者はこのツールが中国に進出するための幾つかのアイデアのひとつであり、中国当局に提供した形跡はないという。
 フェイスブックの報道担当者は「我々はこれまでずっと中国に関心を持っている」が、中国進出については何も決まっていないと同紙にコメントした。
 関係者はフェイスブックと中国当局者はここ数年間中国市場への参入について交渉を続けてきたが、合意に達しなかったと述べた。
 この問題は社内でも議論になり、プロジェクトに加わったスタッフ数人はフェイスブックを離れた。
 ザッカーバックも議論に参加、従業員からの疑問にこう答えたという。彼は「フェイスブックが対話を可能とする一部分となることはよりよい選択だ、たとえその対話が不完全だとしても」。

     
   

 NYTは、フェイスブックが2009年以来中国からのアクセスが禁止されていること、習近平政権がネット規制を強化していることなどを背景として挙げている。さらに中国政府内部にもこのやり方ならばフェイスブックを受け入れることが可能であり、実質的には検閲を続けながら、対外的には中国のネット政策の合法性をPRできるからだという。ただ最高指導部内には反対論もあるとしている。
 この報道に対し、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は「今回大きな関心を呼んだ原因は、フェイスブックが単に中国当局の検閲に応じただけではなく、自らソフトを開発し、いわゆる第3者に提供したことだ。この第3者は、中国の提携企業あるいは中国政府の可能性もある」と指摘した。
 さらに自分や友人の書き込みや写真、動画が表示されるフェイスブックの「ニュースフィード」に何を表示し、何を表示しないかはユーザー自ら決定できるのに対し、今回のソフトは中国政府が望まない内容を、ユーザーのニュースフィードに表示させないようにできるとことが問題だとしている。
 今回の問題について、フリーダム・ハウスのアナリストはVOAに、「中国政府は企業に言論の自由に違反させ、中国政府のために自己検閲を必要する、そのような環境を作り出そうとしている。これはフェイスブックに限ったことではなく、中国市場に参入したい企業はこのような制限に従わなければならず、さもなければ封鎖される運命にある」と批判している。
 報道によればフェイスブックのこのような対応について、多くの中国ネットユーザーは失望を感じているという。ネット上の批評は「もうフェイスブックは使わない」「非死不可(文字通りは『死ななければならない』の意味だが中国語でフェイスブックと発音が似ている)をボイコットしよう」「ザッカーバーグは共産党に魂を売った」「ヤフーはかつて悪人を助けて悪事を働いた(中国政府に批判的なジャーナリストがヤフーメールで送信した内容を中国政府に提供した)が、フェイスブックもその後塵を拝するのか。ザッカーバーグは利益のために原則を放棄しないよう希望する」などの批判があったという。(下写真)
 ただ、このような“妥協”が中国での成功を約束するとは限らないともVOAは指摘している。中国政府は自国企業の養成に力を入れているためで、例えばグーグルは当初中国に積極的に協力したものの、やがて百度により中国市場が独占され、中国市場を撤退した。
 さらに中国のソーシャルメディアは多様化し、フェイスブックが今頃になって中国市場に参入しても、微信など成熟したアプリと競争に勝てるかどうかは観察が必要だと指摘している。
 中国のSNSの世代交代について、BBCも、中国では海外で成功したプラットフォームのコピーが当たり前だったとして、フェイスブックの西側での成功を受け、中国では2005年「人人網」が登場、2000年代末にはユーザーが2億人に達するなど急発展したが、人人網はスマートフォンの急速な普及に迅速に対応しなかったため、微博や微信など、より巨額の投資を行ったサービスに凌駕されたという。


ザッカーバーグのパロディ画
     
     この点については筆者も同感で、中国でこれだけ微信や微博が普及したら、今更ユーザーがフェイスブックを交流ツールとして使う必然性は少ないし、実際に筆者の友人を含め、仕事などで必要な人は「翻牆」してでもフェイスブックを利用している。BBCによれば、ソーシャルメディアサービス企業「We Are Social」の推計で、中国の5%のネットユーザーは翻牆によりフェイスブックを使っていると伝えている。ちなみに香港ではフェイスブックは主要なソーシャルメディアのツールであり、720万人の人口の約半数がフェイスブックユーザーだという。
 香港で2014年に起きた民主化デモ「雨傘運動」などでもフェイスブックは活動家らの情報発信のツールとして活用され、この点も中国政府がフェイスブックを警戒する最大の理由だろう。フェイスブックはこのようなツールを中国のネット監視当局に譲り渡し、その社会的評価に傷をつけてまで、中国市場に参入するメリットは少ないのではないか。
 米ABCニュースによると、このNYTの報道に対し、フェイスブックは「中国に関心を持っており、中国について理解を深めるよう努力しているが、中国市場へのアプローチについては何も決まっていない」とコメントした。この報道によると、コットン米上院議員(共和党)は「フェイスブックが中国の検閲を受け入れる方法を開発していることは非常に憂慮すべき」とコメントを発表、「フェイスブックが短期的な利益のために検閲を正当化するなら、その富を閉鎖的で、繁栄しない、暗黒の未来へと置くことになる」と批判した。
     
習近平時代のネット社会 「壁」と「微」の中国
古畑康雄 勉誠出版
2016年10月
価格 2,592円
   中国政府は推し進めるネット政策の大きな柱が「ネット主権」だとこのほど出版した拙著「習近平時代のネット社会」でも述べたが、ネットにも国境があり、それぞれの国が厳しく管理すべきだという主張をこのように外国企業に受け入れさせるだけでなく、そのやり方を各国にも広げようとしている。その相手となったのが関係の深いロシアだ。
  VOAはこのほど、英紙ガーディアンを引用、ロシアが中国のネット規制技術導入に積極的だと伝えた。
     
 
 
 ロシアは中国のファイアーウォール技術を導入しネット規制を行おうとしている。両国の高官はネット規制での協力強化について協議を重ねている。
 ロシアは中国のファイアーウォール技術を導入した「レッド・ウェブ」構築を進めている。英紙ガーディアンによると、ネット分野での強力のため、プーチン大統領の腹心でロシア連邦安全保障会議のパトルシェフ書記が今年始め中国を訪問し政治局高官と面会した。プーチンも6月に訪中した際、両国がネット分野での協力を進めるとの重要文書に署名した。(前述の)前国家インターネット情報弁公室の魯煒主任、「中国インターネット規制の父」と言われる中国ネット空間安全協会理事長の方浜興がことし4月ロシアでプーチンのネット問題の顧問と面会した。
 クレムリン(ロシア大統領府)の幹部、安全部門の将軍、政府と近い経済界が中国との協力を進めているという。クリミア問題による西側の制裁によりロシアは西側から技術を導入できず、中国はロシアが最も必要とする技術を提供しようとしており、ロシアで事業を展開するファーウェイ(華為)がこれを支援している。
 ガーディアン紙の記事の執筆者でロシア安全問題の専門家、ソルダトフ氏によるとロシアはこの春、中国の協力の下ネット管理を進めることを決定、高官の相互訪問を続けたと述べた。現在はすでに技術開発の段階で、ネットのドメインネームをどう管理し、どの程度の規制を行うかなど、中国の技術を用いたネット規制技術の開発を進めている。
 ロシアのネットやソーシャルメディアは2011年から12年にかけての反プーチンキャンペーンの主な推進力となった。ロシアのメディアは当局から統制を受けており、ネットは相対的に自由だ。プーチン政権を批判するロシアのネットの自由に関する活動家は、ロシアは18年の大統領選を控え、当局はネットやソーシャルメディア、カラー革命を主な脅威を考えており、ネットを統制しようとしていると指摘した。
 プーチンを批判するサイトは次々と閉鎖されているが、反対派はソーシャルメディアでの活動を続けているという。時事評論家は「ウェブサイトを閉鎖しても、ソーシャルメディアがあり、ソーシャルメディアはカギとなる役割を果たしている」と指摘している。
 

 

 

 

     
   

 このように、ソーシャルメディアにおける言論活動取り締まりに手を焼いたプーチン政権が助けを求めたのは、微博、微信などソーシャルメディアでの情報統制でのノウハウを持つ中国だった。トランプ次期米政権の対中戦略などが不透明な現在、2017年はネットの分野にも「中国模式(モデル)」が広がり、西側企業もこれを受け入れざるを得なくなるのか。本家の中国では網民は強まる規制に対してどのような対応をするのだろうか。
 今後もこうした動向をウォッチしたい。なお、今後は諸事情で本コラム執筆は不定期となる。折に触れて中国のネット社会の動向を伝えていきたい。

   

 

 

 


「網民」の反乱 ネットは中国を変えるか?
古畑康雄

 

   
 
古畑康雄・ジャーナリスト
   
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