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微観中国  (14) 人気風刺漫画家が見た日本
   
     

ネットで時事批評漫画を発表している著名漫画家・変態辣椒
 

 騰訊微博で面白い文章を見つけた。北村という作家の「私は抗日派だが、どうやって抗日をするのか?」というものだ。
 「私は抗日派だが、どうやって抗日をするのか?あなたが日本の国力よりも強大なら、日本に勝つことができる。日本よりも良い教育をすれば、勝つことができる。もし日本よりも学ぶことが上手ならば、勝つことができる。もし日本よりも礼儀正しく衛生的ならば、勝つことができる。もし日本よりも法制、憲政、民主が進んでいれば、勝つことができる。もし日本よりも誠実で信用を重んじれば、勝つことができる。(中略)もし日本よりも民生を重んじれば、勝つことができる。もし日本よりも国際社会で盟友が多ければ、勝つことができる。もし日本よりも人権を重んじれば、食品の質を重んじれば、より良い医療と老後の保障があれば、軍隊がより清廉で戦闘力があれば、日本人よりもより団結し、最後に国有化よりもすごい保釣(尖閣諸島を守る)方法があれば、日本に勝つことができるだろう」。
 この文章が言わんとしていることは分かるだろう。中国は民生、人権、民主、社会的信用、社会保障、国際的な評判において、日本に優っているのかという問いかけであり、それができないうちは日本に勝つなど空論だという指摘だ。
 この文章を載せていたのは、ネットで時事批評漫画を発表している著名漫画家、変態辣椒(以下辣椒、敬称略、写真)だ。

 
   
     

 


「“变态辣椒”惹祸记」を伝える「南都週刊」のサイト

 


尖閣諸島をめぐる争いを描いた漫画

 


变态辣椒の微博

 

 

 奇妙な名前を持つ彼を初めて知ったのは、ツイッターなどに発表した漫画だ。例えば次のような漫画がある。死んだ男の子と女の子が次のように話している。「生まれ変わってマケドニアに行こう」「そうだね。あそこでは祖国のスクールバスに乗れるからね」
 これは2011年11月、甘粛省で定員9人の幼稚園のマイクロバスに園児64人が乗せられ、交通事故に遭い21人が死亡したという事故の直後、中国政府がマケドニアに豪華なスクールバス23台を寄贈した問題を風刺している(図)。当時ネット世論では「これでは中国外交部(外務省)ではなく援交(援助交際)部だ」などといった罵声であふれた。辣椒はこの問題を痛烈な漫画で表現した。
 2012年の反日デモの後で日本の民放テレビ局が作った日中関係をテーマとした番組にも辣椒が登場する。尖閣諸島をめぐる争いを描いた漫画(図)が新鮮だった。安心して寝ているパンダ(中国)に若者(日本)が「国有化」といううちわで尖閣諸島(中国名釣魚島)の火をあおる。怒ったパンダは「ナショナリズム」の大きなうちわで火を日本へと向けたが、自分にも火がついてしまい、日本が火消しにかかる。「やはり後の人に解決を任せることにしよう」というオチが付く。反日一辺倒の中でこうした冷静な見方は新鮮だった。
 その直後、微博を通じて辣椒と知り合い、北京で会った。「変態辣椒」というペンネームからは思いもつかない温厚な男性だった。
 その後微博をフォローしていたが、昨年秋彼が捕まったというニュースが入ってきた。本コラムでも取り上げているようにブロガーへの弾圧が広がっていた時期で、動向を心配していたが、釈放されたと聞いた。
 当時の状況について、中国紙「南都週刊」(2013年10月25日)は「“变态辣椒”惹祸记(変態辣椒 災いの顛末)」として次のように伝えた。

 「10月16日深夜11時すぎ、網民『変態辣椒』の自宅のドアを叩く人がいた。覗き穴から見ると制服を着た警察官だった。『何があったかすぐ分かった。自分が微博で余姚について書いたことが問題を起こしたんだ』と辣椒。
警察は『今日どうして君のところに来たか分かるだろう』辣椒は『余姚の件だろう』警察は『そうだ』と警官証を提示した」。
 きっかけは同月8日、中国東部を襲った台風23号で、浙江省余姚市が市内の7割が水没するなど深刻な被害を受けたことだった。ネットでは「余姚市はダムが倒壊し、40人が死亡した」などのデマが流れた。
 12日、新浪微博にあるネットユーザーが貼り付けた「ある記者から、余姚で餓死した赤ん坊を抱いたと電話があった」という微信でのやりとりの画像が大量に転載され、辣椒は自分の微博にもこれを貼り付けた。
 14日、余姚市の微博「姚江先鋒」は、辣椒が13日深夜発表した内容は全くの虚偽だと発表した。逮捕はこれが原因だった。

 事件後、辣椒と再び会う機会があった。ことし2月、前回紹介した慕容雪村と来日したのだ。その時のことについて、辣椒はこう語った。
 「ある無名のネットユーザーが水害の被災地で食糧が不足しているとの微信の画像を発表した。父母が近くにいない子供が餓死したというもので、政府は問題を解決し、隠してはいけないと訴えるものだった。自分は騰訊微博にこの話を転載したところ反響が大きかった。地元政府がこれをデマだと主張、騰訊は情報が事実か確かめられないか自分に聞いてきた。自分は騰訊が取材したらどうかと言ったが返事がなく、その後1週間して警察に身柄を拘束された」。
 警察の呼出状には「挑発し面倒を引き起こした」と嫌疑が書かれていた。彼は携帯で派出所で取り調べを受けているとの微博を発し、友人らから警察に問い合わせの電話が相次いだという。警察は故意にデマを流したのではないとして翌日夜辣椒を釈放した。
 「この事件は処理に問題がある。余姚はデマだと言っているが、どうして元の書き込みをした人の処分はどうなったのか。そして転載した自分だけを処分したのか」、彼は南都週刊にこう不満を述べている。
 辣椒は本名王立銘、河北省生まれ。河北省の学校で広告を学び、2006年からは時事問題をテーマにした漫画を発表するようになった。変態辣椒という名前には特に深い意味はないという。
 微博を使って漫画を発表するようになったのは11年ごろからで、多くの大V(著名ネットユーザー)とも知りあうきっかけができたという。現在彼は北京のネット関連企業で働きながらネットでの活動を続けている。
 彼は南都週刊の取材に、今後はより含蓄あるユーモアを込めて作品を発表すると答えている。「そうすれば漫画を発表してもすぐに削除されることがなく、より広く伝わり、自分も安全だし、作品の芸術性も高まる」。
 辣椒は来日前、慕容雪村同様、新浪微博のアカウントを突如取り消された。「訪日の情報を知った新浪網が日本に関する書き込みをできないよう、意図的にやった可能性がある」と関係者は語った。
 だが騰訊微博や微信は健在で、55万のフォロワーに向けて発信を続けている。特に帰国後、日本で得た様々な印象について、多くの微博を発表、読者との論戦を繰り広げている。

 「日本の選挙制度は中国と大して変わらないという人がいるが、どうしてそのように軽率な結論を出すのだろう。ぎっしりと詰まった日程表を見て、なぜ与野党双方の議員を訪問するのか訝しく思ったが、(受け入れ先の)外務省は政党の争いからは独立しており、訪問した多くの政治家は現政権に反対の立場だった」。
 「都知事選は北京市長選挙に相当する。30歳以上の日本国籍を持つ人は300万円の供託金を払えば立候補できる。これは遊び半分で出馬する人を制限するのが目的で、もし(有効投票数の)10%の票を得られれば、お金は返還される」。
 「日本の中国書籍専門店には、中国語書籍や日本で出版された中国関係の本が、左派、右派の別を問わず並んでいる。抗日戦争の多くの犯罪は日本の歴史家が発見したものだ」。
 「今回日本のトイレについて重点的に考察した。自分が入った公共トイレはいずれも臭いがせず、目を閉じれば自分がご不浄にいると感じないほどだった。多くはウォッシュレットで、暖房便座や乾燥機能、水流調整など複雑な機能も付く。日本人のお尻は本当に幸せだ!」。
 こうした発言には当然ながら「いつからそんなに日本びいき、親日になったのか?」「日本が招待した理由は?」といった声も出た。これに対し辣椒は「本来自分のような草の根の人間が招待されることはないが、(中国)政府があらゆる対話のチャンネルを閉じたので、日本政府はやむなく、民間と交流し、誤解を解こうと望んでいる」「私が贔屓するのは先進的な制度であり、親日ではなく文明的な国家を支持しているだけだ」などと反論、反日派に対して次のようにもコメントしている。
 「お金をためて、日本行きのビザを申請してみたらどうか。反日の憤青(怒れる若者)はほんの僅かでも旅行に出れば、心服して考え方を改めるだろう。一昨年の反日潮流の後(中国人の)日本への旅行は低迷したが、今は過去最高のレベルだ。政府の冷淡な(日本との)接触拒否と民間の大規模な観光旅行は強烈なコントラストを形成している。もしあなたが井の中の蛙をずっと続けたいのなら仕方がないが、可能ならばどうして自ら行って真相を見ようとしないのか?」
 「真相?私が知っている真相とは日本がどんなに経済が発展し、生活がどんなに素晴らしく、人々がどんなに幸福でも、歴史を否定し、罪を覆い隠す理由にはならないということだ」ネット反日派が食い下がると、辣椒はさらに、
 「本当に可愛そうだ。君のいわゆる真相とは閉鎖的なメディアから説教されたものだ。もし機会があれば、海外に出て世界の真相を自らの目で見たらどうだ」。更に「分かった、頑固頭の連中と言い争いしても意味がない。自分のいとこも以前は反日憤青だったが、数年後ソニーのエンジニアになり日本に出張し戻ってきたら全く変わってしまった。日本ではネットは自由で見たいものは何でも見られるし、(中国にいたら)知らなかった多くのことを知った。抗日ドラマの宣伝何かよりもずっと役に立つ」こうやり返している。
 戦争と歴史の問題にもこう述べている。
 「中国は戦勝国なのか。どうしていつも日本の侵略を忘れないと言っているのか。日本の歴代首相は数十回謝罪し、周恩来は戦争賠償を放棄、日本は中国の度量の大きさに感激した。(日本からの)賠償はなかったが、(代わりに)数十年間、数兆円無利子や低利の借款で中国を支援した。改革開放初期、中日関係は非常に良く、テレビでは日本のドラマばかりが流れていた。今は一体どうしたのか?」。
 そしてこのような発言もあった。
 「私は中国人が日本人同様礼節をわきまえ、信号を守り、中国が欧米国家にとって最も観光に値する国となり、中国の道路にはゴミがなく、ゴミは分類して管理する、そして我々の教科書がいつまでも恨みを持ち続けるのではなく世界の潮流に合わせることを望んでいる。日本の選挙制度のように、我々(中国人)もいつか投票により権力を支持し、罷免できることを望んでいる。そしてあなたも目を大きく開いて世界を見ることを希望する」。
 「日本とは戦争ができないとはっきり分かっているのに、日米同盟が冗談ではなく、中日の貿易額がこんなに大きくなり、国交断絶が不可能なのに、なぜ不機嫌そうに毎年何十本もの抗日ドラマを撮っているのか?本当に戦争するならすれば良い、一度の戦いで実力が分かり、一度の戦いで多くの愛国の一人っ子をあの世に送ることになり、年老いた両親が涙を流し子供の葬式をすることになる。それがあなたの言う愛国なのか?」。
 もちろん彼自身一度の日本旅行ですべてを理解しているわけではないと分かっており、次回は自費で来日し、プラス面だけでなくいろいろなマイナス面も見てみたいと話している。
 辣椒は「中国国内の反日感情は依然高まったままだが、より多くの人に日本の本当の状況を理解してもらうよう努力する」と微信で筆者にメッセージをくれた。彼のような社会問題をユーモラスに描く網民、そして知日派が活躍することを望んでいる。再会が楽しみだ。(ジャーナリスト・古畑康雄)

   

 

 

 

 


「網民」の反乱 ネットは中国を変えるか?
古畑康雄

 

   
 
古畑康雄・ジャーナリスト
   
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