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東京便り―中国図書情報 第33回 .

 今年のノーベル文学賞は誰の手に!? 
 村上春樹氏が予想トップ、中国人作家3人の名も

   
   

ノーベル賞今年のノーベル文学賞は、誰の手に!?
スウェーデン・アカデミーはこのほど、2016年のノーベル文学賞の発表を、当初の想定より1週間遅い10月13日(木)午後1時(日本時間同8時)に行うと正式に発表した。

いよいよカウントダウンが始まったわけだが、これに先立ち10月初めに発表された欧州の3大ブックメーカー(賭け屋)のオッズ(賭け率)では、日本の村上春樹氏がいずれも受賞予想のトップに選ばれている(表、下記参照)。

また中国からも、オッズ平均の20位以内に3人の作家の名前が挙がっており、2012年に中国籍の作家としては初めて同賞を受賞した莫言氏に続く名誉となるか、中国のメディアや文学ファンの注目が集まっている。

 

   
 

■「ノーベル文学賞最大の関心事」

まずは、ラドブロークスやPAF、ユニベットといった欧州の3大ブックメーカーのオッズ平均から、受賞が予想される上位の作家を見てみると――。

第1位がオッズ6倍で、村上春樹氏だ。
『ノルウェイの森』『海辺のカフカ』などの作品で世界的に有名な村上氏は、オッズチャートでは毎年、ノーベル賞の有力候補に挙げられている。

昨年は、英ラドブロークスによる予想で、1番人気だったベラルーシの作家、スベトラーナ・アレクシエービッチさんが予想通りノーベル文学賞を受賞、村上氏は2番人気だった。
今年の予想は、的中するかどうか?

中国でも人気の作家、村上氏が長年オッズチャートの常連であり、今年は最有力候補となったことを受けて、中国メディアは「今年のノーベル文学賞最大の関心事だ」(中国網)と注目している。
ちなみに村上氏が受賞すれば、日本人で3人目、戦後生まれでは初となる。

続くオッズ2番人気は、ケニアの国民的作家、グギ・ワ・ジオンゴ氏(オッズ8倍)。
3位は、アメリカの現代文学を代表する作家、フィリップ・ロス氏(オッズ9倍)。
4位には、シリアを亡命した詩人、アドニス氏がそれぞれ選ばれている(オッズ11~15倍)。

   

■中国からは北島、張一一、閻連科の3氏

ノーベル文学賞候補のオッズ(クリックで拡大表示)中国国内では、村上氏がオッズ1番人気となったことに続いて、上位20位までに3人の中国人作家が選ばれたことも耳目を集めているようだ。

まず、オッズ平均の10位に選ばれたのが、詩人の北島(ベイ・タオ)氏(オッズ26~30倍)。
本名・趙振開。1949年北京生まれの中国現代詩人。文化大革命(文革)後期より詩作を始め、文革後に発表した作品では、困惑から目覚めた当時の若者世代の“本音”を描いた。
1989年の天安門事件を機に出国し、欧米に滞在したが、2007年より香港中文大学に教授として就任。香港に移住した。
著作には、詩集『北島詩歌集』『太陽城札記』『陌生的海滩』など、散文集『失敗之書』『藍房子』『城門開』など、小説に『波動』などがある。

次に、18位となったのが、中国の若手作家を代表する一人、張一一(ジャン・イーイー)氏(オッズ41~43倍)。
1981年1月1日、湖南省生まれ。「80後」(パーリンホウ、1980年代生まれ)の人気作家、韓寒、唐家三少、郭敬明と並ぶ「新四大才子(才人)」と呼ばれている。
主な著作に、中国古典にインスピレーションを得た『中国旅游賦』『光棍賦』『新岳陽楼記』などの文学作品がある。
ちなみに2014年には、プロの作家でありながら中国の全国統一大学入試を受け、「史上最強の受験生」と目されながらも作文テストでわずか29点しか取れず、地元の試験センターの湖南教育試験院を訴えたことなどが物議をかもした。

そして、20位にランクインしたのが、閻連科(えん・れんか/イェン・リェンコー)氏(オッズ30~50倍)だ。
1958年、河南省洛陽嵩県の貧しい農村に生まれる。20歳で人民解放軍に入隊し、在軍中に河南大学と解放軍芸術学院を卒業。
1980年代から小説を発表し、『日光流年』(98年)で茅盾文学賞、『受活』(2003年)で老舎文学賞を受賞した。
2004年に除隊後も精力的に作品を発表し、中国で「不条理リアリスト」「狂想現実主義」などと称されている。中編『夏日落』(92)に続き、長編『人民に奉仕する』(05)は2度目の発禁処分を受けた。
作品はこれまでに二十数カ国語に訳されており、日本語訳された作品に『人民に奉仕する』(06年)、『丁庄の夢 中国エイズ村奇談』(07年)、『愉楽』(14年)、『父を想う:ある中国作家の自省と回想』(16年)などがある。
2014年、フランツ・カフカ賞受賞。

20位までを見れば、日本の作家が1人であるのに対して、中国の作家は3人。中国メディアによれば、同チャートに「中国人作家が3人同時に入選したのは初めて」(中国網)とのこと。
欧州の3大ブックメーカーが、アジアの中でもとくに中国の作家に注目していることは明らかなようだ。
    

■「物議をかもす作家」張一一氏

ノーベル文学賞は、同賞の主催機関であるスウェーデン・アカデミーの会員(終身会員)が最終候補者(5人ほど)の作品を、ひと夏をかけて読み込んだ上で選考する。厳重な機密扱いで行われるため、ブックメーカーのオッズはあくまでも予測にすぎないのだが、中国の文学ファンも、これについてはさまざまな意見をネット上で交わしている。

○「村上春樹はかわいそう。毎年(受賞の)呼び声が高いのに、落選してしまって。今年こそ、衆望を担って受賞してほしい」
○「理想的には北島だが、現実的にはフィリップ・ロスだろう」
○「村上春樹の作品では、ノーベル賞に届かないよ。つまり人類の運命や、社会の現実に深く切り込んだ作品でないと……」
○「アドニスに授与すべきだろう。今年はもう86歳だから。村上春樹はまだ若い」……

一方、オッズチャート上位に名を連ねた張一一氏をめぐっては、かつてこんな醜聞が立ったこともあった。醜聞の相手とされる人物は、ノーベル文学賞選考委員の1人であるスウェーデンの中国研究家、ゴラン・マルムクイスト(Goran Malmqvist)氏だ。

張氏自身が2011年4月、個人ブログで発表したもので、それによると張氏は自身の3作品をスウェーデン語に翻訳してもらう“謝礼”として、ゴラン氏に60万ドルを支払った。さらにゴラン氏は、他の選考委員に張氏を推薦すると約束したというのである。

張氏に“ワイロ”の認識があったのかどうか疑問だが、ゴラン氏は「私はその作家とは全く面識がない」としてこれを全面的に否定。その後、ゴラン氏は疑いを晴らすためか「中国政府と駐スウェーデン中国大使館とは一切の関係を絶つことにした」(南方都市報、2011年)と発表している。

なお当事者である張氏は、これまでにも「80後争議作家」「炒作帝」(80年代生まれの物議をかもす作家)などと中国ネットユーザーらに皮肉られている。本件に対しても「謝礼金は事実だ」(南方都市報)と一貫して主張しており、「炒作帝」の評価をさらに決定的なものにしたようだ。

  

■当の村上春樹氏は……

このほか、ノーベル文学賞のゆくえに大きな関心を寄せる中国メディアらだが、村上春樹氏のこんな言葉も紹介している(中国網)。
オッズチャートで毎年、ノーベル賞の有力候補に挙げられていることについて、村上氏自身が述べた心境である。

「正直なところ、わりに迷惑です。だって正式な最終候補になっているわけじゃなくて、ただ民間のブックメーカーが賭け率を決めているだけですからね。競馬じゃあるまいし」(『村上さんのところ』新潮社)

これに対し、話題の中国人作家、北島、張一一、閻連科の3氏からは、今年のオッズチャートに挙がったことについて、10月初めの時点で何の反応もないという。

いずれにしてもオッズによる予想通り、今年は村上春樹氏がノーベル賞を受賞するかどうか? 人気の高い作家はもちろん、世界の文学ファンらにとっても、あと少し、期待と緊張のときが続く。


 【2016年ノーベル文学賞 予想上位の作家】
  1 村上春樹 (日本の作家)
  2 グギ・ワ・ジオンゴ (ケニアの作家)
  3 フィリップ・ロス (米国の現代文学作家)
  4 アドニス (シリア亡命の詩人)
  5 ジョイス・キャロル・オーツ (米国の小説家)
  6 イスマイル・カダレ (アルバニアの小説家・詩人)
  7 ヨン・フォッセ (ノルウェーの劇作家、著作家)
  8 ナーダシュ・ペーテル (ハンガリー生まれの作家、ジャーナリスト、写真家)
  9 アモス・オズ (イスラエルの作家、ジャーナリスト)
 10  北島 (中国現代詩人)
 11  アダム・ザガエフスキ (ポーランドの詩人、小説家、エッセイスト、翻訳家)
 12  ドリス・カレバ (エストニア出身の作家)
 13  ペーター・ハントケ (オーストリア出身の作家)
 14  ジョン・バンヴィル (アイルランドの小説家、ジャーナリスト)
 15  キイェルAskildsen (ノルウェーの作家)
 16  フアン・マルセー (スペイン出身の小説家、ジャーナリスト、脚本家)
 17  高銀 (コ・ウン、韓国の詩人)
 18  張一一 (中国の若手作家)
 19  アントニオ・ロボアントゥネス (ポルトガルの作家)
 20  閻連科 (中国の作家)


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小林さゆり
東京在住のライター、翻訳者。北京に約13年間滞在し、2013年に帰国。
著書に『物語北京』(中国・五洲伝播出版社)、訳書に『これが日本人だ!』(バジリコ)、
『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』(CCCメディアハウス)などがある。

 

  Blog: http://pekin-media.jugem.jp/
   
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